・今日やったこと(学習内容・時間・感想)
『Jump-Start!ー英語は39日でうまくなる!』高山 英士 著(Linkage Club刊)
37日目「副詞節」を理解しよう!
ひとつひとつの英文をゆっくりみていくと、理解できるような気はするものの
現実世界で、とっさに口にすることはまったくできないのは、どうしたらよいのだろう・・・
これは、「流暢性」の問題らしいのですが。
この問題(「頭ではわかっているのに口から出てこない」)は、第二言語習得(SLA: Second Language Acquisition)の分野で非常に重要なテーマであり、特に「流暢性(fluency)」と「パフォーマンスとコンピテンスのギャップ」という視点から語られることが多いです。
以下に、現代の研究知見をふまえて、わかりやすく説明します。
■ 現象:なぜ「言えない」のか?
1. 知識はある=コンピテンス(competence)
- 頭の中には英文法や単語の知識がある。
- 教科書やドリルでは「わかる」「書ける」。
2. でも、話せない=パフォーマンス(performance)
- 現実の会話になると、即座に言葉が出てこない。
- 単語を思い出せない、文法を組み立てる時間がない。
■ なぜこのギャップが起きるのか?
🔹処理の自動化が足りない(Automaticityの不足)
- 「知識としての英語」が「反射的に使えるスキル」になっていない。
- 会話にはリアルタイムの情報処理が求められ、知識を瞬時に引き出す力が必要。
🔹出力(Output)の練習が不足している
- 多くの日本人学習者は「読む・聞く」が中心で、「話す・書く」は少ない。
- アウトプットは、記憶の強化と自動化に不可欠。
🔹焦りや不安(Affective Filter)
- 心理的なバリア(間違えたくない、恥ずかしい)によって、出力が阻害される。
■ 現在の研究が提案する「克服法」
第二言語習得研究の視点から、効果があるとされる方法を紹介します:
1. 意味のあるアウトプット(Meaningful Output)
🔸 Merrill Swain の「アウトプット仮説」
- 話すことで、自分の言語の穴に気づき、学びが深まる。
- 書く・話す練習は、学習者が「自分の英語を整理する」時間になる。
→ 提案:
「英語で日記を書く」「短いスピーチを練習する」「1日3文、自分の行動を英語で言ってみる」など。
2. フォーカス・オン・フォーム(Focus on Form)
🔸 Long の提案
- コミュニケーションの中で、文法や語彙に注意を向ける練習が効果的。
→ 提案:
「会話しながら、相手の文法を真似する」「言い直し(recast)に注目する」。
3. 繰り返しの音読・シャドーイング(音声処理の自動化)
🔸 VanPatten や Segalowitz の研究
- 音声を「聞いて意味処理する」スピードと、「言う」スピードは別の技能。
- 繰り返し音読は、話す回路を鍛える。
→ 提案:
「音読→シャドーイング→暗唱」のサイクルを5〜10回繰り返す。
短いダイアログ(例:2〜3文のやりとり)を1日1セットでOK。
4. タスク中心の練習(Task-Based Language Teaching)
- 実際に意味のある目的をもって英語を使う練習(例:道案内、買い物、意見交換)。
- 意味中心で文法も自然に使われるようになる。
→ 提案:
「旅行中のシチュエーションを想定して話す」「英語でレシピを説明する」など、目的を持った練習を取り入れる。
5. スモールトークの定型文をストックする
- 流暢さを高めるには「考えずに言える定型文(chunks)」が必要。
- ネイティブも同じ表現を何度も使っている。
→ 提案:
「I see what you mean.」
「Let me think…」
「Actually, I’m not sure.」
など、頻出表現を丸ごと覚えて、口から出せるようにする。
■ まとめ:話せるようになるために必要な3つの柱
項目 | 説明 |
---|---|
1. 自動化 | 音読・シャドーイングで、知識を瞬時に使えるように |
2. 意味のあるアウトプット | 書く・話すことで知識を整理し、記憶を強化 |
3. 定型表現の習得 | 反射的に使えるフレーズを蓄積し、流暢さを上げる |
必要なのは「知識を増やすこと」より、「使う練習を積むこと」です。
しかも、それは完璧である必要はなく、たくさん失敗すること自体が学習になります。
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